外構工事のトラブルは、どのくらい起きているのか。ネットには体験談があふれていますが、公的な統計で確かめようとすると、意外な事実にぶつかります。
外構は、住宅の公的統計から構造的に外されているのです。
国土交通大臣から指定を受けた住宅専門の相談窓口「住まいるダイヤル」を運営する公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センターは、毎年『住宅相談統計年報』を公表しています。この年報2022〜2025年版(2021〜2024年度分)を全部読み込み、外構がどう扱われているかを調べました。
外構は「その他相談」に分類されている
年報の電話相談は4つの区分で集計されています。定義は表1-1に明記されています。
| 相談区分 | 定義 |
|---|---|
| 新築相談 | 請負や売買等により新築住宅として取得した住宅に関する相談 |
| 既存相談 | 既存住宅(中古住宅)の売買に関する相談 |
| リフォーム相談 | 住宅のリフォーム工事に関する相談 |
| その他相談 | 賃貸借契約、相隣関係、マンション建替え等 上記3区分の相談に該当しない相談 |
外構工事は「住宅のリフォーム工事」に当たりません。門柱・塀・駐車場・アプローチは住宅本体ではないからです。結果として外構の相談は、「上記3区分に該当しない相談」という受け皿に落ちています。
その受け皿の中では、外構が筆頭部位
年報には「不具合事象と主な不具合部位」という表があり、どんな不具合がどの部位で起きているかが分かります。その他相談・戸建住宅の集計を見ると、こうなっています。
2025年版(2024年度・n=186)
| 不具合事象 | 件数 | 割合 | 当該事象が多くみられる部位 |
|---|---|---|---|
| ひび割れ | 32 | 17.2% | 外構、基礎 |
| 性能不足 | 31 | 16.7% | 外構 |
| 傾斜 | 17 | 9.1% | 床、外構 |
| はがれ | 12 | 6.5% | 床、外構、開口部・建具 |
| 変形 | 12 | 6.5% | 外構、床 |
| 排水不良 | 9 | 4.8% | 排水配管、外構 |
| 沈下 | 7 | 3.8% | 地盤、外構 |
集計されている14の不具合事象のうち7つ、ちょうど半分に外構が関わっています。件数にすると120件で、n=186の6割を超えます。
2024年版(2023年度・n=202)でも同じ傾向です。16事象中8つに外構が関与し、合計116件。2年連続で「その他相談・戸建住宅」の半分が外構がらみでした。
特に多いのは「ひび割れ」と「性能不足」
2年分を通して、外構が1番目に挙げられている(=その事象の主な発生部位が外構である)のは次の事象です。
| 年度 | 不具合事象 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 2023年度 | ひび割れ | 37 | 18.3% |
| 2024年度 | ひび割れ | 32 | 17.2% |
| 2024年度 | 性能不足 | 31 | 16.7% |
| 2023年度 | 性能不足 | 21 | 10.4% |
| 2023年度 | 変形 | 17 | 8.4% |
ひび割れは土間コンクリートやブロック塀、性能不足は「思っていた仕上がりと違う」「排水が想定どおりでない」といった内容が想定されます。いずれも施工後に発覚しやすく、やり直しに費用がかかる項目です。
一方で、外構は市場規模の統計から除外されている
同じ年報には、住宅リフォームの市場規模の推計も載っています。その注記にこう書かれています。
推計した市場規模には、分譲マンションの大規模修繕等、共用部分のリフォーム、賃貸住宅所有者による賃貸住宅のリフォーム、外構等のエクステリア工事は含まれていない
つまり市場規模の集計からは外され、トラブル統計では例外扱いの区分に入り、しかしその区分の中では筆頭部位になっている。これが公的統計から見た外構工事の位置です。
統計の枠組みから外れているということは、実態が把握されにくく、制度的な保護も届きにくいということでもあります。住宅本体のリフォームなら住宅瑕疵担保責任保険や紛争処理の仕組みが整っていますが、外構工事はその外側にあります。
訪問販売・点検商法にも注意
年報によると、リフォーム相談のうちトラブルに関する相談は7,667件。そのうち訪問販売に関するものはリフォーム相談全体の8.5%を占めます。
国民生活センターも、屋根工事の点検商法の相談が2022年度に過去5年で最多となり、2018年度の約3倍に増えたと公表しています。特徴的なのは契約当事者の8割超が60歳以上という点です。
外構でも「近所で工事をしていたので」「無料で点検します」といった訪問がきっかけのトラブルは起こりえます。ブロック塀や駐車場の土間は道路から見えるため、訪問販売の口実にされやすい部位です。その場で契約せず、必ず複数社から見積もりを取ることが基本の対策になります。
トラブルを避けるために確認できること
公的統計から見えるのは「外構は制度の隙間にある」という事実です。だからこそ、契約前に自分で確認できることの重要度が上がります。
- 見積書の内訳が項目ごとに分かれているか 「外構工事一式」だけの見積書は比較も検証もできません
- ひび割れ・排水の仕様が明記されているか 統計上もっとも多い不具合です。土間コンクリートの目地や配筋、勾配と排水経路を確認します
- 複数社から相見積もりを取る 1社だけでは、その金額と仕様が妥当かを判断できません
- 訪問販売はその場で契約しない クーリング・オフの対象になる場合がありますが、そもそも契約しないのが確実です
相見積もりは、金額の比較だけが目的ではありません。複数の業者が同じ現場をどう見るかを知ることが、仕様の妥当性を判断する材料になります。
出典
- 公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター『住宅相談統計年報2022』『同2023』『同2024』『同2025』
- 独立行政法人 国民生活センター 公表資料
本記事の数値は、上記年報の「不具合事象と主な不具合部位」の各表および相談区分の定義(表1-1)から集計したものです。なお2024年版から相談区分の集計方法が変更されているため(2023年版までは「新築等相談」「リフォーム相談」の2区分)、2023年版以前との単純比較はできません。